tender dragon Ⅰ
目を閉じれば、すぐにでも思い出せる。希龍くんの前には、可愛らしい女の子が座っていた。
年もさほど変わらない、多分高校生だと思う。
きっと彼女。
何を話してたのかなんて、想像もできない。どんな付き合いをしてるのかも、全く知らない。
あたしの知らない希龍くんを、あの子は知ってるんだ。
そう思うだけで、胸がズキズキと痛む。
会いたくない。
でも、今の状況でわがままは言えない。
だから、頑張らなきゃ。
―ポタリ、涙が一粒こぼれ落ちた。
希龍くん、あたし苦しいよ。
どうしてもあなたが好きなの。
でももう、諦めるからね…