tender dragon Ⅰ

――――――
―――――――…

「美波さん」

「何?」

いつものようにキーをクルクル回しながら、春斗があたしに話しかける。


あの日から、加奈はあたしに話しかけてこない。でも、たまに目が合うとイラついたようにあたしを睨む。

あの様子だとやっぱりあたしが嫌いみたいだ。


「何すか、その空元気」

「え…?」


芽衣はあの日のあの行動で、やっぱり希龍くんの双子の姉だとバレてしまったみたい。

毎日毎日女の子たちに追い回され、質問攻め。それに急激なモテ期の到来だった。

告白ラッシュ。

本人は嫌みたいで、彼氏の遼太くんの機嫌が悪くなるからやめてほしいみたい。


「あたしそんなに分かりやすいかな?」

「はい。分かりやすいっす。」

「……はぁー…」

「希龍さんも葉太さんも、何か様子変ですし。最近3人で話してないですよね?」

「…春斗、鋭いよね。何かあったらいつも春斗が一番最初に気づくもん」

< 310 / 428 >

この作品をシェア

pagetop