tender dragon Ⅰ
「結構カッコいいんだよー」
聞いてないことまでベラベラ喋り出す加奈。
…どうして夜中にナンパしてくるような人のことを愛してるだとか、好きだとか言えるんだろう。
相手を見てもないのに失礼かもしれないけど、間違いなく誠実な人ではないでしょ。
「いいなー加奈。彼氏出来て」
加奈の取り巻きの2人は、羨ましそうに加奈を見る。あたしは羨ましいって思えないんだけどな。
優越感に浸る加奈は、携帯をつつきながらニヤニヤしてる。
大方、新しく出来た彼氏とメールでもしてるんだろう。
そんなことよりも、あたしは昨日のことが話題に出なかったことに安心しきっていた。
「あ、そういえばさー」
加奈が何かを思い出したかのように話し始めるまでは。