tender dragon Ⅰ
「彼に聞かれたんだけど…」
そのあとに出てくる言葉に動揺するなんて、思ってもみなかった。
「うちの学校で、龍泉に関わってる女がいるらしいんだけど、知らない?黒髪の女だって」
―ドクン…
息が止まりそうになった。
安心しきっていたから余計に驚いて、思わず下を向いてしまった。
「何それ。龍泉に女?」
「はぁ?誰そいつ、あり得ないんだけど」
取り巻き2人はお怒りのようで、女子とは思えない口調で暴言をはく。
それはあたしに向けて言っているものじゃないと分かっていても怖かった。
「昨日希龍さんのバイクに乗ってた女がいたって、狂羅が騒いでたよ。彼、狂羅の関係者らしいから、あたしにも教えてくれたの」
まずい。制服を着てたから、うちの学校だってこともバレてたんだ。
顔だってきっと見られた。
あたしだってバレるのも時間の問題だ。