tender dragon Ⅰ
「そうですね」
心が広いっていうか…大人だなぁ。
「美波ちゃんも遠慮しないでいいからね。自分の家みたいに思ってくれていいし。」
「ありがとうございます…」
まだ会って2日なのに、どうしてこんなに親切にしてくれるんだろう。あたしは赤の他人なのに。
「じゃあ、俺これから仕事だから。昼飯は何か適当に作って食えよ」
「あ、いってらっしゃい」
「はは、いってきます」
爽やかな笑顔を見せたあと、安田さんは時計を見て慌ただしく出て行った。
「何か食いたいものある?」
「ううん、何でもいいよ」
そう言うと、葉太はうーん、と考えた素振りを見せて
「俺料理出来ないけど」
と言って笑った。
「いつも安田さんが作ってるの?」
「最初は当番制だったんだけど、俺と希龍が作った料理は食えたもんじゃねぇから。今は安田が作ってる」
あぁ、そんな感じする。
葉太に料理が出来るとは思えないし。