tender dragon Ⅰ
「ふーん、そっか」
あたしも結構好き嫌いあるなぁ。
なんて考えてたら、玄関の方からガチャとドアを開ける音がした。
安田さんが忘れ物でもしたのかな、と思って玄関の方に顔を除かせると、そこにいたのは安田さんじゃなかった。
「え?」
安田さんとは似ても似つかない、小柄な少年が目を丸くしてあたしを見つめている。
「あれ、春斗じゃん」
はると?
はるとって誰?
「葉太さん、こんにちわ!」
可愛らしい笑顔で葉太にお辞儀をしたその少年は、とてつもなく声が大きい。
急な大声に、心臓が跳ねた。
「おう。美波、こいつも龍泉の面子だから。」
あぁ、龍泉の…
こんなに可愛らしい子まで、暴走族なんだなぁ。見た目はただの高校生なのに。