蒼空~キミの名前を呼ぶ~
すると、そこで強い風が吹く。
あたしは思わず身を縮ませる。
「え? 何か言ったぁー?」
「う、ううん!!
何も言ってへんで?」
そう言って慌てるまどかに、あたしは心の中で謝った。
本当はしっかりと聞こえていた。
『よかった…』
そう、安心したように言ったまどかの声。
まどかにはたくさん心配をかけた…。
最悪な始まり方をしたあの夏。
あの後、すぐに夏休みに入った。
あの時は、ツラくてツラくて…
頭の中がゴチャゴチャで…
泣いてばかりいた。
夏休みだというのに…部屋からはあまり出なかった。
というより…出れなかった。
そんなあたしを気にして、毎日毎日メールをしてくれたまどか。
部屋に来て、話を聞いてもらったこともあった。
全てを知ったまどかは、呆れることも、怒ることもなく…
ただ一緒に泣いてくれた。
迷惑をかけた。
だから今は、まどかに心配させたくない。
だから、“常に笑顔でいよう”
そう決めている――。