風に恋して
「リア様!レオ様!」

ずぶ濡れでバスルームから出てきた2人を見て、イヴァンが慌ててクローゼットからタオルを取り出してくれた。イヴァンからそれを受け取ったレオは、リアの身体を包んで濡れた身体を拭いていく。

「ピオヴェーレ……」
「っ、リア!イヴァン、扉を閉めろ!」
「は、はい」

イヴァンが急いで扉を閉めるが、リアが震える声でなおも呪文を唱え続けるせいで隙間から漏れ出てくる水。

「ソプレ」

それを、レオが吹き飛ばしてバスルームへと押し戻す。

「いや、水が欲しいの…………冷まして」
「ダメだ、リア」

レオは床を這ってバスルームに戻ろうとするリアの腰を掴んだ。リアはそれでもレオから逃れてバスルームへ入ろうとする。

「リア!」

思わず大きな声を出してその細い手首を掴むと、リアが今までになく乱暴にレオを振りほどいた。

「いや!触らないで!」
「リア、水はダメだ。こんなに震えているのに」

レオは優しくリアを引き寄せてリアの頬に張り付いた髪の毛を耳にかけてやる。
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