風に恋して
――触れないで。

熱くて、おかしくなってしまう。

リアは自分の肌に触れてくるレオの手を払い、熱を持つ部分を拭った。それでも、1度上がってしまった温度が冷めることはなくて。

「熱い、熱いの……水が欲しい」

泣きながら呟くのに、呪文はレオの唇に吸い込まれ、レオはリアの濡れた身体をタオルで拭いていく。

「熱い、の……」

リアはレオの手を退けようと身を捩った。

「俺が触れると熱いのか?」

レオの問いにリアは大きく頷いた。

そう、いつだってリアの中に炎を点すのはレオなのだ。熱く、リアのすべてをかき乱すような風をどう扱ったらいいのかわからない。リアの水面を揺らしていく……

心が、揺れる。

怖いのに、触れて欲しい。

会いたくないのに、会いたい。

声が聴きたい。

「わかんな……っ」

わかりたくないのに。
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