風に恋して
「リア、熱いのは俺の想いだ。お前への、想い」
「……っ、うっ」

リアは堪えきれずに嗚咽を漏らした。

「それから、その想いに答えてくれるお前の心。俺は、お前の中にはそれが残っていると信じている。だから、熱いんだろ?」

レオがリアを抱き締める。

熱い――

「いやっ!み、ず……冷、まして、っ……欲しい、の」
「俺の気持ちもお前の気持ちも、水なんかでは冷めないし、冷まさせない」

冷たくなってしまったリアの頬を包み込むレオの大きな手はやはりとても熱くて、顔を上げさせられて視線も上げれば漆黒の瞳がリアを映す。

「どうやったって、冷めない。いや……もっと、熱くしてやる」

そしてレオの唇がリアの唇と重なった。冷たかったはずの身体がじわりと温かくなっていく。

『もっと、熱くしてやる』

その、言葉に……リアはゆっくりと目を閉じた。

苦しいのに、抱きしめて欲しくて。

冷まして欲しいと思うのに、どこかでレオの熱を求めていて。

そんな自分を否定したくて雨の呪文を使ったのに、こうしてレオと……唇を重ねると彼の体温に安心する。

矛盾している。でも。

自分はこの気持ちを知っている――
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