風に恋して
「俺も、ずっと、ずっとお前を想っている。たとえ雨がお前の気持ちを流すことができたとしても、何度でも運んでくる。俺の、風に乗せて」

レオはリアの耳にチュッと口付けた。そして身を離す。

「病み上がりだ。もう寝たほうがいい」

レオに促されたリアは大人しくベッドに横になった。

「どうした?」

じっと、レオを見上げるリアの頭を撫でてやる。すると、リアが口を開いた。

「ひとつだけ、教えてください。お城で一番優秀なクラドールはどなたですか?」
「優秀な、クラドール?」

突然のリアの質問にレオは驚く。リアはその問い返しに静かに頷いて、レオの答えを待っているようだ。

城のクラドールは国のトップの腕を誇る者たちだ。全員優秀である。だが、強いて言うならば……

「セストだ」

レオの返答に確かに微笑んで、リアは目を閉じた。
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