風に恋して
レオの告白は続いていく。

「いつだってお前に触れたいと思っている。この熱を分け与えたいと思っている。それに、雨の女神の話はこれで終わりじゃない。お前はいつもこの話を読むと俺に言っていた」

女神を想い続ける純粋な心を持った男は、その恋心を運べるように神が風の精霊としてもう1度命を与えてくれる。そして女神の元へ行くのだ。だから、2人は結ばれる。雨もきっと止む。

それがリアの作った物語の続き。

リアが初めてその話を教えてくれたとき、水の女神と風の精霊になった男――彼らにリアと自分を思わず重ねていた。リアにそんな意図がないこともわかっていたけれど、レオはずっとリアのことが好きだったから。

それに、リアは言った。

『レオも風が使えるから好きな人に想いを届けられるね』

あのときはまだ、リアに想いを告げる勇気がなかった。兄のような存在として慕われているのだと自覚していたし、レオとは年の離れたリアがまだ幼いということもあった。

だけど、今は違う。

1度は心を通わせた最愛の人。リアの心には、レオの欠片がほんの少し残っていて……こうしてレオの腕の中で静かにレオの話に耳を傾けてくれる。
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