風に恋して
「リア、俺を見ろ」

シーツの中で重なる2人の熱がシンクロする直前、リアは霞がかった頭でそれを聞く。

涙で滲む視界にレオが映り、彼が微笑んだのがおぼろげに見えた。

「呼んでくれ、俺の名前を」
「……レ……オ」

どうして、それを受け入れたのか分からなかった。だけど、自分の口から零れたのは紛れもなくレオの名で。

リアは目を閉じた。涙が頬を伝い、再び送り込まれるレオの想いの大きさに、意識を攫われていく。

そして――

レオの苦しそうな呼吸が耳元で響いて、ギュッと抱きしめられた。

月だけが2人を見つめる中、リアの白く細い肢体がゆっくりとベッドに沈み、レオもリアの手を力強く握り締めて荒い呼吸を繰り返す。

刻まれる。

引き寄せられる。

何か、大きなものに――捕らわれる。
< 19 / 344 >

この作品をシェア

pagetop