風に恋して
レオと、リアの……子供?

「――っ」

ああ、そうか……と。ストンとすべてが心に落ちてくる。いや、どこかで「やっぱり」と思った。確かめるのが怖かったのかもしれない。ずっと……風邪が長引いているだけなのだと、思おうとしていた。

平熱に戻らない体温も、たっぷり寝ているはずなのに眠くなるのも、時折聴こえるようになった声も……

(赤ちゃん……)

苦手な桃を食べたこともあったし、呪文や薬を入れたくないと本能的に行動したこともあった。普段なら気にならない匂いに気分が悪くなって……

そして、自分を守ってくれた突風。

「レオ――っ」
『あー、あー!ぱー』

リアはレオの胸に顔を埋めた。

ああ、ハッキリと……聴こえる。自分の中から、命の声が。

「リア?」
『まー』

どうしたら、いいのだろう……

「レオ、レオ――っ」

レオのおまじないで止まったはずの涙が、また溢れた――
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