風に恋して
「カタリナがいるから、とりあえずそれでいい。何かあったらすぐに俺に伝わるようにしておけ」

カタリナはリア付きの侍女ではあるが、剣術が得意で護衛としての役割も担っている。

ただ今回は精神的な攻撃を仕掛けてきているから心配なのだ。カタリナは剣術に長けているが、呪文は得意ではない。実質イヴァンとディノの2人に任せることになるだろう。もちろん、2人も優秀である。だからこそ、この城で働いているのだ。

けれど……

「レオ様、リア様が心配なのはわかりますが、この会議をすっぽかすことはヴィエント王国の問題になってしまいます。そうなれば、レオ様もリア様もお立場が……」
「わかっている。だが、リアが不安定なのは知っているだろう?」

あの夜――泣き止んだはずのリアがまた突然泣き出して、レオは驚いた。精神的なショックから、ふとした瞬間に恐怖が蘇るのだろう。

レオの名を呼びながら泣き続けていたリアを、抱きしめて、口付けを落としてやることしかできなくて。

体調もあまり良くなっていないようで、眠ってばかりいるし、ぼんやりしていることも多い。

「それは、私も気になっておりました」

セストがふと手を止めて考え込む。セストもリアに記憶修正の鍛錬をつけてもらっているはずだ。リアの様子がおかしいことにも気づいている。
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