風に恋して
もし、このまま――…

(そんなの……できるわけ、ないのに)

リアはそっと自分の下腹部に手を当てた。もう、生きている命。母親であるリアに話しかけてきて、父親であるレオに会うと嬉しそうに笑って。

「リア?」
『まーま』

黙ったまま俯いていると、レオにクッと顎を持ち上げられた。

「ぁ……待っ――」

同時にグイッと腕を引かれ、少し強引に唇が重なる。

『うー!きゃはっ!まー、まー、ぱー!』
「っ、んっ……レ、オ………っ、ふ」

舌がもぐりこんできて、熱く重なる吐息と身体に、だんだんと頭がぼうっとしてくる。思考が吹き飛ばされる。

「明日……会えない、分…………欲しい」
「レオ、まっ――」

ソファに押し倒され、更に深い口付けが続いていく――そのときだった。

『やぁぁぁ!!』
「――っ」

突然、お腹の子が泣き出した。

「リア?悪い、怖かったか?」
「え……」

レオがリアの頬に触れ、自分が泣いていることに気づく。
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