風に恋して
『あぁぁぁん!まー!まぁぁぁぁぁ』
「あぁ……いい子だから泣かないで。お母さんもすぐに良くなるから、ね?」

風が吹き荒れる度にエレナがなだめようとするけれど、あまり効果はない。泣き疲れて眠ってしまうまで、呪文で部屋を保護するくらいしか対策がないのだ。

「泣く、な……」

そのとき、かすかにディノの背中から声が聞こえてきた。ハッとして振り返るとレオが身体を起こそうとしてベッドに手をついている。

『ふぇっ、ぱー?』
「レオ様!」

ディノはレオの背を支えた。上半身を起こすとレオは息をついた。

ふわり、とレオの周りに風が寄ってくる。

「リア、は?」
『まー、まー、んぅー!』

レオは苦しそうに顔を歪めて隣のベッドを見やる。

「今は……呪文で落ち着いています。お子様に影響がないように調節していますので、ご安心を」
「そうか……セストも無事か?」

レオが反対側のベッドへ視線を移す。ディノもそれに従って視線を向けると、セストも目を開けていて弱々しく微笑んだ。

「まぁ、なんとか」
「「セスト!」」

ディノとイヴァンの驚いた顔にセストはまた笑った。
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