風に恋して
リアはざわめく心を落ち着かせようと必死になったけれど、うまくいかなくて。

そしてすぐに、そんなリアの心を再現するかのようなざわめきが中庭まで届いてくる。

「早くしろ!揺らすな、丁寧に運べ!」

一際響いてきたのはリベルトの声だ。そしてチラリと見えた城の廊下を何人かの兵士が通り過ぎて、彼らの運ぶ担架に……血まみれの人。

「マ、ルコ、おじさん?」

一目でそれが彼だとわかった。

どうして、嫌な予感は当たるのだろう?

「……っ、マルコおじさん!」
「リアっ」

レオの制止を振り切ってリアは走り出した。

(嘘、嘘……)

遠目からでも、生死の境を彷徨うほどの怪我だとわかった。それほどに出血していた。リベルトの慌て方も普通じゃなかった。

それに、設備の揃った城に戻ってきたということは軍の陣営で対応できないということ。
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