風に恋して
治療室に入ると、リベルトがマルコの服を切り裂いてクラウディアが薬の投与を始めていた。止血の処置をした形跡もあったけれど、血が止まっていない。

処置の邪魔にならないよう、マルコを運んできた兵士たちが部屋を出て行く。

血の気の引いたマルコの顔。いつも、リアに笑いかけてくれるはずのそれは苦痛に歪んでいて、彼がかすかに息をする度にヒュッと音がする。

「マルコおじさん、マルコおじさん!」

リアが駆け寄ると、マルコは微かに目を開いた。

「……っ、り……ぁ……?」
「うん、私だよ。大丈夫、すぐに治るから」

リアは精一杯笑って、トラッタメントを始めた。

「ダメだ、血が止まらない!」
「内臓の損傷もひどいわ。どうしてこんな傷を……」

傷の浅いものも含めるとかなりの箇所を剣で貫かれていて、このままでは出血多量で助からない。リベルトとクラウディアが2人がかりで、そしてリアもトラッタメントを施しているのにだ。

「民を避難させているときに襲われて庇ったようです。襲ってきたのは反乱軍ですが、何人もの剣に貫かれたと……」
「その後の援軍が回収した剣には毒が塗ってあったようだ」

外に出て行った兵士たちに事情を聞いてきたらしいセストとレオが治療室に入ってくる。誰かを庇いながら複数の相手をするのはかなり難しい。血が止まらないのはおそらくその毒のせいだろう。

「いやっ、マルコおじさん!死んじゃダメ!」

助けたい。いや、助けなくては。

トラッタメントの効果が薄くて、このままでは助からない。毒で呪文の効果を薄めているのなら、呪文を使わずにやるしかない。
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