風に恋して
そして、マリナとオビディオの結婚式が終わってヒメナももうすぐカリストの元へと嫁ぐという頃。

城で暮らす妹から食事の誘いが届く。

『親愛なるお姉様へ

カリスト様の元へ嫁がれる前にお食事にいらっしゃいませんか?オビディオ様にもお父様にもお許しをいただいたの。

好きな時に会えなくなってしまう前に、また一緒にお喋りして夜を過ごしたいの。きっと、素敵な夢が見られるわ。ねぇ、いいでしょう?

お返事待っています。

心を込めて マリナ』

甘えたような文面。ヒメナは思わず笑みを零した。あまり行きたくなかった城にも、マリナのためなら行こうと思えてしまう。

ヒメナはすぐに返事を出した。

必ず行く、と。

その選択が、未来に大きな嵐を及ぼすことに気づけるはずもなく――
< 310 / 344 >

この作品をシェア

pagetop