風に恋して
「おい、リア。俺の話、聞いているのか?」
「ん」

先ほどからレオの言葉にそれしか返さないリアは、中庭の隅の大きな木の根元に腰を下ろして本を読んでいる。レオはそんなリアの態度にイラついて本を取り上げた。

「あっ!何するの、レオ。今いいところなのに!」

リアが本を取り返そうとレオに手を伸ばすが、レオは取り上げた本を風で飛ばして枝の上に乗せた。そしてレオに向かって伸びるリアの手を掴み自分の方へ引き寄せた。

「わっ!?」

リアの身体がレオの腕の中に収まる。

「俺は何て言った?」
「レオ、本を返して」

レオの腕の中で身体を捩りながら、リアは上目遣いでレオを睨みつけてきた。迫力はあまりないのだが。

「好きだって言ったんだよ」
「……」

リアは抵抗をやめて、じっとレオを見つめている。レオもその翡翠色の瞳を見つめ返して答えを待つ。

リアの柔らかな栗色の毛がふわりと風になびいて、甘いリアの香りに誘われそうになる。

ずっと、守りたいと、頼って欲しいと思っていた。リアはレオを兄のように思っているが、レオは彼女を妹だと思ったことなんてなかった。それでも、怖がりなリアに“男”を見せないよう努力してきた。

けれど、それを心の内で抑えるのも、もう限界。
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