風に恋して
「……知ってるよ。私も、レオのこと好きっていつも言っているじゃない」
「そういう意味じゃないってわかっているだろ」

お決まりのリアの台詞。レオは少し低い声を出した。

もう何度目だろう。何度好きだと伝えても、リアはこうしてはぐらかす。

初めて告白したときは、本気で“like”だと思われた。けれど、そうではないことはすでに何度も伝えたし、リアも本当はわかっているはずなのに。

「リア。俺のこと、男として見て欲しい。俺はお前をずっとそういう風に見ていた」

いつも抱きしめたいと思っている。触れたいと思っている。唇を、重ねたいと思っている。今も、腕の中にいるリアを目の前にして理性を保つのが精一杯だというのに。

「……本……」

リアはフイッと視線を逸らすと、ポツリと呟いた。それはチクリとした痛みをレオにもたらす。リアはハッキリとレオの気持ちに応えようとしない。拒否することも、受け入れることもしない。拒否されることがないから、レオは引き下がれない。

いや、例えリアが自分を拒んだとしても……リア以外考えられないのだ。まるで世界にリアしかいないかのように……恋焦がれている。リアにもレオだけを見て欲しい。

「リア、頼むから――っ!?」

レオがそう言い掛けたとき、レオの頭上から水が降ってきた。リアが雨の呪文を使ったのだ。水気のない場所であるから量は多くないが、それでもレオの髪を濡らすには十分だ。レオは張り付いた前髪をかきあげる。

そのうちにリアがレオの腕から抜け出して、城へと駆けていく。

「おい、リア!」
「レオが悪いのよー!」

リアがクスクス笑いながらレオを振り返って叫ぶと、そのまま走り去っていってしまった。

レオはため息をついて立ち上がる。どうしたら、リアは自分の元へ飛び込んでくれるのだろう。

10年以上一緒にいるのに、わからない。いや、むしろ彼女との距離が近すぎるのだろうか……
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