風に恋して
「……これも消されているわけか」
「やっ」

レオが呟き、ちょうど心臓の辺りを、円を描くように指でなぞる。その触れるか触れないかの微妙なタッチにリアの身体がほんのりと熱を帯びていく。

(な、に……?)

身体が自分のものでないような感覚。リアはハッと吐息を漏らした。

「こんな子供騙しの呪文とは……」

レオは少し笑うと、その場所に口付けた。

「やめ――っ」

リアの身体に力が入る。それに構うことなく、レオはそのまま小さく何かを喋り始めた。何かの呪文のようだ。吐息がかかるのは胸元だけなのに、全身がぞくりと震える。それなのに、熱くて仕方ない。

呪文を唱え終わると、レオはリアの心臓のある場所を丹念に舐めた。

「ひぁっ!?」

ドクン――と。

心臓が音を立てた。息が詰まるような、眩暈がするような……苦しくて、熱い。

「ぅ、ぁ……」

リアは身体を捩った。瞳には涙がにじみ、息がうまくできなくて、大きく口を開けてなんとか空気を取り込もうとする。

(熱い……)

心臓が焼けてしまいそうだ。
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