純潔の姫と真紅の騎士
夜の空を赤く照らしていた。

炎だ。

ごうごうと燃え盛っていたそれは二時間前と比べると随分小さくなっていた。

白い煙も、ほとんど消えている。

きっと、この地に残されているのは灰だけだろう。

ああ、それと自分達への怨みか。

血も涙もない、そういう言葉が自分たち<聖剣士六士>によく似合うことを自分達が一番理解している。

たくさんの言い訳を並べてもこの手が今更綺麗にならないことも。

「俺たちって、非情で残酷な存在だよな」

「……ははっ、今更、だな」

珍しく笑ったシノも俺と同じ考えだったんだろう。

酷い戦いだった。

俺たちが赴く戦場はいつも生ぬるいものではなかったが、今回は相手が兵士ではなく、戦う術も知らない一般の民だった。

それでも、邪魔になった。

だから殺した。

ジャルーヌに言われ続けてきた。

『戦意すら奪うほどに、強者であることを戦場で示せ』と。

そしてそれを忠実に戦場で実行する。

「愚かな国だったねぇ。軍の上層部はとっくに負けを予測して逃げたのにさぁ。軍を鎮圧しおえたら、次は民は恐慌のあまり軍の武器を使って攻撃をしてきてさぁ。負けることも、死ぬことも、理解してたはずなんだけどねぇ」

アネモネの口から吐き出される言葉は、最高に非情なものたちばかりだ。

それでも、アネモネは泣いていた。

泣きながら、言葉をつづった。

おそらく、死ぬ人々の思いを感じたのだろう。

それをみたシノが顔をしかめながらアネモネを抱き上げた。

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