黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
 
……司は、笑っていた。


…いや、正確には、目元に浮かんだ涙を人差し指で拭いながら、無理やり俺に笑いかけてくれた。


「……今度こんなことしたら、次は絶交だからなっ♪」


そう言って司は、もう一度無理やり、俺に笑ってみせた。

俺はその笑顔を見て、不謹慎にも『キレイだな…』と思った。


そして、こんな酷いことをした相手を、こんなキレイな笑顔で許せるだなんて、司はすごいな…

…そんな司が愛おしいな……と。


……とにかく、司との仲が壊れなくて本当に良かった。

当事者にされた裕也だけは、未だに『なんのことかわからない』…といった様子で、俺達3人を不思議そうに眺めていたけど。


ようやく胸が楽になり、もう一度きちんと司に謝ろうとした、


その時──。


→【19】
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