黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
◆裕也の体から即座に離れ、おとなしく自分の座席に戻った。


「……フフフンフンー♪フフフンフンフフーン♪」


そして何食わぬ顔でシートに座り直し、あまつさえコナ●のテーマソングまで鼻歌で演奏し始める、そつのない俺。


…どうだっ!

どうだ司に小町屋っ!

この完璧なしらばっくれトリックは!

この完璧な何食わぬ顔と、この完璧な●ナンノーズソングなら、今さっき発生した裕也への強制猥褻の記憶も、頭の中からモッサ リ消え去るであろう!

まさにコナ●くんもびっくりなスーパートリック!

…ふはははは!


そんな完璧を装う俺に、1つの冷ややかな視線と、2つの性犯罪者を見るかのような視線が突き刺さる。


「…フフフフフン♪フフ♪フンフンフフーン♪♪…」


……ああ、わかっているさ…!

わかっているともさ!(`。・ω・´)

こんなコナ●くんもがっかりなチープトリックじゃ、賢明な司や、ましてや性根ひん曲がった小町屋なんて騙せやしないなんてこと……俺だってわかっているさ…!


…だが、だからこそ…

…歌い続けるんだ!!


「…フンフンフーン♪フフフンフンフン♪フッフフフーン♪♪」


そのまま順調かつナチュラルに、コナ●ソングが三小節目をむかえようとした、まさにその時。


…悲劇は起きた。
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