巫女と王子と精霊の本
「あ、あんまり見るな…」
じっと見ていると、エルシスは私から顔をそらした。
心なしか顔が赤い気がする。
「エ、エルシス?」
何でそんな顔するの?
え、何この雰囲気!!
ソワソワする。
心臓がドクドクいってる…
「……………………」
「……………………」
私達は無言で俯く。
な、何か話さなきゃ!!
何か、何か!!
「あ、あのエルシス!!」
「あー…鈴奈」
あぁ!!
タイミングを誤った!!!
頭真っ白だよ!!!
チラッとエルシスを見ればエルシスも困ったように目を泳がせていた。
「な、何っ!?」
あうぁ…、声が裏返った!!!
「あ、あぁ。日が…暮れたな…」
「え?あ、あぁ!!」
本当だ、いつの間に!!
私、だいぶ眠ってたみたいだ。
「なら部屋に戻ろうか、寒くなってきたもんね」
私は立ち上がり、服の土をはたいて落とす。
それに続いてエルシスも立ち上った。