巫女と王子と精霊の本
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「…やってくれるね、王子……」
「お前もなかなかやるじゃないか、隠者」
二人は傷だらけで顔を見合わせ笑っている。
血だらけで微笑む男二人。
もうただのホラーでしかない。
「………お二人さん?あの、生きてる?」
恐る恐る聞いてみる。
なぜ声をかけるのに生死の確認をしなければならないんだろう…
もうこの場から逃げ出したい。
「名を聞いておこう、隠者」
「俺はセキだ。名前からもわかるようにギオウ国の出身だよ」
「ギオウ国か…そうだな、ギオウ国は和に、溢れている美しい国。名も多くは語らず、短き中にも深き意味をもつ文化の国か…」
……なんか、盛り上がってる???
「……セ、セレナ……」
「お困りですか、巫女様」
「うん、とりあえずあの二人あのままじゃ出血多量で死んじゃう」
本当にそれはなんとしても避けなくては!!てかなぜ生きてるの!?
「…わかりました、巫女様の為なら私、一肌脱ぎましょう」
セレナは笑顔を私に向け、男二人に歩みよる。そして……
「あ、これが使えそうですね」
にっこりと笑い地面に落ちていたデッキブラシのような物を手に取る。
え、セレナ……?
そのデッキブラシをまるでバッターのように構えた。
まさか…………
「覚悟!!!!」
―バコーンッ!!
セレナは美しいスイングで二人を気絶させた。
「………………………………」
言葉を失う私にセレナは変わらず笑顔を浮かべる。
「さ、巫女様。風邪をひいてしまいます。お召し物を」
セレナは何事も無かったかのように私の背中を押す。
今わかった。
この世界で怖いのはセレナだ。
うん、セレナは怒らせないようにしよう。そう決意した瞬間だった。