巫女と王子と精霊の本


「っ…エルシス!!」


私は寝ているエルシスに抱き着いた。


「おっ…おい!!」


エルシスの顔が少し赤い。


「エルシス…良かった…。失わずにすんだ…」


でもまだだ。
まだ一つにすぎない。


まだまだ油断は出来ない。


私がしっかりしなきゃ。
エルシスが傷つく前に助けなきゃ…


「エルシス、もう少し休んでて、それまで私が…」


マニル国やカイン国に泉の水を配るのは私にも出来る。


「いや、もう動ける」


エルシスはそう言って体を起こした。


「エルシス…無理しないで」

「だがな、俺は王子なんだ」


王子……
ただそれだけでエルシスは辛い思いをする…


「…エルシスは王子である前に人間でしょ?もっと我が儘言ったっていいんだよ?」


もしそれで誰かがエルシスを責めるのなら、私が守ってあげる。


エルシスの味方になるのに…


「…悪いな、心配かけて…」


エルシスは申し訳なさそうに笑い私の頭を撫でた。


「エルシス……」


やっぱりエルシスは無茶するんだ。私がどれだけ心配したか…


分かってくれない…


「鈴奈…怒ったのか?」

「…少し」

「ははっ…素直だな」


むくれる私を見てエルシスは何故か嬉しそうに笑った。








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