巫女と王子と精霊の本
「鈴奈!!危ないから近付くな!!」
エルシスの制止の声が聞こえる。
「ごめん、エルシス。でも大丈夫だと思う…」
私は馬の目を見つめたままそう言った。
「大丈夫だと思うってお前な!!」
うん、ごめんねエルシス。でも大丈夫な気がするんだよね…
―怖かったの…?
心の中で問いかける。精霊であるクレアーネさんと話したように。
『怖い…あれは何…?』
やっぱり…これは心話だ。なんで動物とも話せるんだろう。
って……
今はおいといて、このお馬さん…
怯えているように見える。
この子だけじゃない。
他の子も…