-Lost Japan-失われし愛国
「私は…、どの立場から見れば良いのかしら…ね。司令官として見たら、罪と責任を下さなくちゃならないわ。」


「静流さんの考えに反対な訳じゃないっすよ。それが普通なんじゃないか?ただ…──。」


「ただ?」


走って行く蓮哉の背中を見つめて晃に、そして自らに対して質問を投げ掛ける静流に、晃は言葉を紡ぐも途中で言葉は途切れる。
その場の沈黙は重く二人を包むが、その時間は長くはなく晃の口が再び開かれた。


「傷付いた人間を見捨てる様な人間だったら、俺は親友になんてなれねえし、国を救うなんて無理だと思う…かな。」


「…!ふふ、やっぱりパートナーは似るのかしらね。同じ事を蓮君にも言われたわ。」

続けられた言葉は蓮哉の言葉を聞いていたのではないかという程に酷似していて、静流は思わず笑みを零しながら既に見えなくなった蓮哉の言葉を記憶の糸を手繰り寄せて、自らの心の中で何度も聞き返していた。


──…私は立場が欲しい訳じゃない。
司令官なんて、肩書きでしかないのよ。


自らで導き出した答えが正しいかは分からない。
でも、気持ちは幾分も楽になり口元には自然な笑みを浮かべる事が出来た。
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