-Lost Japan-失われし愛国
後ろからの声に、ふと我に返れば弾かれた様に声のする方へと顔を向ける。
そこに居たのは、一部始終を見ていたのだろう晃が何かを言いたそうに蓮哉を見つめて、腕を組んでいた。


「晃?」


「何一度フラれたからって、しょっべぇ顔してんだよ。責任持つんだろ?行ってやれよ。先ずは警戒を解かせねえと話になんねえよ。」


「あ、ああ。」


俺は、何をためらっていたのだろう。
晃の言う通り、俺は責任を全て負うと言った筈なのに、アリッサを守ると決めた筈なのに、責任から逃げようとしていた。


「晃、…有難う。」


「へっ、説得は任せとけよ。ま、奢り一回にまけとくさ。」


晃へ言葉を掛けて再び走り出した蓮哉の背中を眺めて、いつもの人の緊張をほぐす様な愛想の良い笑みを浮かべる晃に二人の様子を見に来たのか、静流が歩み寄る。
認めてあげたいが敵と分かった以上、司令官の立場からか静流の表情は迷いを滲み出させ、綺麗な紅で彩られた唇を微かに歪めた。
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