-Lost Japan-失われし愛国
第二楽章CHINA-SIDE─血の代償─
──…日本が来てから此所(中国)は変わってしまった。
民は身分・男女など関係なしに厳しい徴収と過度な労働に、飢えや過労に倒れて死者は増えていく一方で、道端にまるでゴミの様に倒れている死者の姿は国の無力さを表している様だ。
この状況を打破しようと何度も反乱を起こすが、既に武装を剥奪された軍部に力はなく直ぐに制圧されてしまう。
優秀な指揮官や軍人は制圧される度に処刑にされるか捕虜として日本政府に連行されていき、民は既に反抗を止めて耐えるだけの日々を送っていた。



──…俺は違う。日の丸をこの大地から消し去ってやる。


「おい、ウェン。聞いているのか?」


「ん?何か言ったかヨウレイ。」

「ボーッとしてないで聞いとけよ。朗報なんだから。」


建ち並ぶ労働者達の住む民家の地下室で再び日本政府を崩す為に立ち上がった反乱軍の面々は、着々と進められていく武装強化に確実に力を付けていた。
軍長補佐という形で軍長であるウェンを支えるヨウレイはウェンの頭を丸めた紙で叩いては、再び口を開いた。
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