帰宅部にお任せを

「ねえ、颯ー」

よくここを訪れるようになったユマさん。

目的は颯。

誰から見ても見え見えなんだけど、ユマさんは颯に惚れてしまったらしい。


迫られている本人はというと、

「うっぜぇ」

なんてこぼしながらも、まんざらでもないんじゃないのかな。


もしかしたら…、なんて。




ユマさんの頑張っている姿を見たら、わたしも勇気が出てきた。

「楓、」

ぼーっとしている楓に声を掛ける。


「……………なに?」

反応鈍っ!



「あのさ、」

…さあ、声に出せ。


「…たまには遊びに来なさい、だって。椎奈が言ってた。皆、待ってるって」


「……」


それを聞いた楓は目を見開いたかと思うと、また書類に視線を戻した。


やっぱり、まだ言うべきじゃなかったのかも知れない。


…だけど、少しずつ向き合っていかなければならないのだから。


だから、頑張ろう一緒に。


―…ねえ、楓。





---第三話 自分嫌い[END]
< 112 / 121 >

この作品をシェア

pagetop