帰宅部にお任せを

「じゃあ、さようなら」

依頼人と復讐代行人という関係が崩れた瞬間だった。


…わたし達と彼女はそれだけの関係で、

それ以上のことはもう有り得ない。


また彼女が帰宅部を訪れない限り、これでサヨウナラ。





「やっと終わったー…」

わたしの隣で伸びをするのは今回、大活躍だった廉。


それにしても最後の廉のあの演技―…、

凄かった。


「廉…よくあんな演技出来たね」

「そうか?」

廉は『俺は颯や、曽良に比べればまだまだだよ』と自分をへり下って言った。



「…ねえ、わたしが言うのもなんだけど、廉はこういうことしてて、心が痛んだりしないの…?」

今回も成功に終わったけれど、廉を想っていた人を傷つける結果ともなった。

わたしだったら、気持ちが向いているとわかっていてこんな酷いこと、出来ない。



彼は私の質問にこう答えた。


「俺も人間だから痛むに決まってる。…だけど、俺はそれよりもまだこの部にいなければいけない理由があるから―…」



この時、わたしはこの言葉の意味がよくわかっていなかったのかも知れない―…。


---第一話 れっきとした部活動ですから[END]
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