帰宅部にお任せを
「あら、そうなの?」
お嬢様に目を向けられて、いつもならビクッと反応してしまうところだけど、何とかそれを抑えた。
「はい、そうなんです」
目をきちんと合わせる。
嘘かばれないためのまず一歩。
それからわたしは、わざと声のトーンを低くした。
「言うべきか躊躇したのですが、丸山さんが言ってたのです。あなたのことを…」
頭でもう一度、これから言う台詞を復唱する。
よし…!
「丸山さんは言ってました。…その、……あなたの下僕はうんざりだと…言ってました」
大事な部分は言いにくそうに。
それは楓のアドバイス。
わたしは目の前の人に嘘をついてしまった。
「…嘘でしょ?」
お嬢様は大きい目をさらに見開く。
『はい、嘘です』と言ってしまいたい。
でも、それを言ったらお終いだ。
嘘をつくことへの罪悪感でわたしはいっぱいだった。