secret name ~猫と私~
深呼吸をすれば、出来あがった夕飯の良いにおいがする。
思わず母とヒートアップしてしまった事を、セッテに謝ろうと振り向くと、そこには難しい顔をした彼が居た。

「・・・ごめん。お母さんだった。」

素直に謝って、テーブルに着く。
母を雑に扱ったことを言われるだろうか。
やはり電話に出るべきではなかったと、後悔しながら。

「なぁ、高村さん。」

「何?」

表情を変えず、セッテは切り出した。

「・・・じぶん、出身どこなん?」

「愛知県だけど。」

彼の表情と、質問の内容がミスマッチだ。
何故そんなことを聞かれるのか不思議に思っていると、 難しい顔をしていたセッテが、耐え切れなくなったように顔を崩す。

「ほ・・・方言、似合わへん・・・!!」

大笑いされた。
佳乃は顔が熱くなるのを感じた。
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