secret name ~猫と私~
佳乃は悲しそうな眼を一瞬見せた後、くるりと後ろを向いた。
一つにまとめられた髪が、ふわりと揺れる。

「そう。じゃあね、セッテ君。」

顔だけ肩越しに振り向いて、強がって笑顔を作ろうと努力した。
うまく、出来ただろうか。

「今まで、楽しかったわ。」

これで本当に、終わりだ。
彼の笑顔を見ることは叶わなかったし、お互いに傷付くだけの結果になってしまった。

足早に遠ざかっていく佳乃の背中を、追いかける事も出来ない。
追いかけたって、自分がしてやれることは何一つないのだから。

「高村さん、ありがとう!」

他になんと言えばいいのだろう。
背中に投げた言葉は、届いただろうか。

後味が悪いまま、セッテは見失うまで彼女の背中を見つめ続けた。

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