secret name ~猫と私~
自分の顔の事など、深く考えた事も無かった。
第一印象が大切だと思っているため、笑顔は心がけているが。

同性の所に仕事をしに行くこともあれば、異性のところだってある。
たくさんの仕事をもらい、その期間の長い・短いはあっても、こんな風に好意に発展した事は、過去1度きりだった。

「お前、優しすぎんだよ。」

一升瓶から自分で焼酎を注ぎ、またあおる。

「お前の仕事が悪いんじゃねぇよ。性格の問題だろうな。」

見た目以上に歳をくっているクアットロの言葉が、セッテの心に刺さった。


「仕事はきっと、完璧だ。
だがよ、相手を喜ばせようとして、頑張り過ぎたんじゃねぇの?」


そうかも、しれない。
ずきんと、胸の奥に何か刺さったような痛み。

彼女の笑顔が増えて、嬉しかった。
嘘いつわりの無い気持ちだったが、それは仕事以上の事だったのか。

「ま、人間としては悪くねーんじゃね?
猫としては、もっと割り切れって思うけどな。」

お前の女みたいにな、と、付け加えて。


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