secret name ~猫と私~
それだけしか話せなかったが、話せない事情は2人にもなんとなく伝わったようだった。

「・・・で、何を悩む事があるのか、さっぱりわかんねぇんだけどよ。」

呆れたように腕を組んで、クアットロが唸る。

「お前振ったんだからさ、別にもういいじゃん。」

確かに、返事ははっきりとしていないが、事実上振った事になる。

「分かってないわね!セッテは何で、振られる事分かってて告ってきたかって、そーゆーことでしょ?」

少し違うが、もうそれでいい。

「女にはね、抑えきれない想いがあるのよ!」

「オカマの癖に。」

ドラマチックな恋に陶酔しきっているトレに、クアットロの暴言は届かない。

そう。
クアットロの言った通り、トレは美女だが、性別は“女性”ではない。
色々な妄想で盛り上がっている彼女?の横で、クアットロは小さな声でセッテに話しかけた。

「・・・お前、仕事場で距離取るの、下手だろ。」

焼酎の入ったグラス片手に、クアットロは座った目で鋭いところを突っ込んでくる。

「はぁ・・・そう、みたいですわ。」

「ま、お前の仕事、難しいんだよな。」

半分ほど残っていたグラスの液体を飲み干し、クアットロは続けた。

「お前みたいにプライベートに突っ込んだような仕事はさ、距離取れっつーほうが難しいんじゃね?
同じ男ならまだしも、女相手にお前の顔と性格じゃ、な。」

「そんなもんやろか?」

納得いかない顔のセッテに、長い長い溜め息をクアットロは吐きだす。
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