背中を合わせて【完】
汚れて少しほつれたズボンの膝。


ズボンを膝までめくると、少しだけ赤みを帯びていた。


血は出ていないようだったからちょっと安心。



(制服着たら膝は見えるもん。高校生にもなって膝に絆創膏とか貼って出歩くのは恥ずかしいからね。)



「膝は怪我しなくてよかったな。」



急に声をかけられて慌てて顔をあげると、赤い髪の男がベンチに向かってきていた。


その手にはペットボトルとタオル。


歩み寄る男の姿を見ていたら、聞き慣れたアラーム音にが鳴った。


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