幼なじみと付き合った場合。
伊織の服に口を押しつけたまま、くぐもった声で問いかける。



「今日は……松本さんのところに、ちゃんと行ってきた?」



「おー…行った、行った。歓迎されすぎて、罪悪感……俺、逆に松本に悪いことしたんじゃねーかって思って……」



罪悪感っていう言葉に、あたしの胸がズキッと痛む。



それに、あたしが伊織に行くように言ったんだし、


それで松本さんを傷付けたことになるなら、今回のことは意味がなかったことになる。









「悪いことした……って、どういう意味?」



「松本の親って、すげぇいい人で…。つくし過ぎるタイプ?

最初俺が全然愛想なく接しててもずっと笑顔でさ、やたら気ぃ遣ってくれるし、俺も最後にはなんか打ち解けてて。

松本の義理の父親って人も、ダラしないヤツかと思ってたらそうでもなくてさ。

昼間家にいるのは、家で仕事してるかららしくて。フリーのデザイナーなんだと。

そーいうの、カッコいいよな。松本は敵対心持ってるけど、みんなで会ってるときは普通でさ」



伊織は、疲れてたとかいう割には、興奮してるのかやたらとペラペラと喋りだす。



しばらく今日のできごとを話したあと、やっと一息つくかのようにあたしの体をそっと離した。






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