短志緒
私が健吾に好きだと言えなかったのは、心地よい友達以上の関係を崩壊させてしまうよりもこのままでいる方が良いと思ったのと、自分から告白するなんて美女のプライドが許さなかったからだ。
健吾も同じだったのかもしれない。
「あたしが好きならどうしてもっと早く言ってくれなかったのよ」
「言ったらこの関係が終わってしまう気がしたから。ていうか梨香は俺の気持ちに気付いてると思ってたし」
「気付くわけないじゃない。次から次へと女を引っ掻けてたくせに」
「お互い様だろ」
いつまでも決着をつけずにズルズル長引かせてここまできていた。
まさに初恋モラトリアム。
「いきなりプロポーズとか、色々飛ばし過ぎ」
「いいじゃん。長い付き合いなんだし」
「良くない。あたしまだ指輪もらってない」
「明日一緒に買いに行こう」
健吾の腕が伸びてきた。
体を引き寄せられ、温かい手が私の髪をかきあげる。
「で? プロポーズのお返事は?」
「yesに決まってるでしょ」
「決まってるならもっと早くしとけばよかった」
「いいから早く可哀想な彼女に電話して」