短志緒



それ以降も、私と俊輔はそれまで通りの交流を続けた。

俊輔が私に告白したことは、たぶん誰も知らない。

私は彼にもいつも通りに接しているし、俊輔もいつも通り、みんなにイジられては楽しそうに笑っている。

ただ、あの告白以来、私は俊輔を「そういう目」で見るようになってしまった。

案外背中が広いとか、筋肉質な腕をしているとか、男のくせに爪がきれいだとか。

今まで見えていなかった彼の男の部分が目に入ってくるのだ。

その場であっさり振ったくせに「悪くない、かも?」などと考えている自分が嫌になる。



告白から1ヶ月ほど経ったある日。

俊輔を含むいつものメンバーで飲みに行き、いつものようにカラオケで一通り騒いでお開きになった。

「じゃーねー」

「おつかれー」

タクシーに乗ったり歩いたりと、それぞれの帰路へつく。

ここから自宅が比較的近い私は、歩いて家へと向かうことにする。

ほっと息をつくと、一気に疲れが襲ってくる。

俊輔とのことがあって、いつも以上にいつも通りにしようと気を張っていた。

そのせいか、少し飲みすぎてしまった気がする。

酒で火照った体に夜風が心地良い。

そう思っていたのだが、しばらく歩いていると、だんだん目がチカチカしてきた。

緊張が解けて気が緩み、酒が回りだしたのだ。

まっすぐ歩くのすらしんどくなってきて、私はやむをえず、どこか腰をかけられる場所を探す。

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