短志緒
俊輔は再び、怒った顔になった。
「彩子ちゃん。ひとり暮らしなのに、簡単に男を家に入れんなよ」
さっき私を「彩子」と呼んでいたことや「俺の女だ」と主張していたのが嘘のように突き放される。
私はまた泣きそうになった。
「だって……」
「同じこと、繰り返す気かよ」
俊輔は大きくため息をつく。
私だって、あんなことが起こった後で、考えなしに部屋へ誘ったわけではない。
それなりに覚悟を決めてのことだ。
俊輔はもう、私のことなど吹っ切れたかもしれない。
振られた相手が酔っ払って危ない目に遭っているのを、友達として放っておかなかっただけで、本当は面倒に思っているかもしれない。
それでも、もう少し一緒にいてほしい。
その安心できる胸の中に、いさせてほしい。
「いいもん」
「は?」
「俊輔なら、いいもん」
「いいって……何言ってんの」
私は狼狽えている俊輔の手を掴み、引っ張って自分の部屋へと向かう。
俊輔は抵抗せず、大人しく私についてきた。
部屋が近づくごとに自分の胸が高鳴っているのを感じる。