短志緒

俊輔は再び、怒った顔になった。

「彩子ちゃん。ひとり暮らしなのに、簡単に男を家に入れんなよ」

さっき私を「彩子」と呼んでいたことや「俺の女だ」と主張していたのが嘘のように突き放される。

私はまた泣きそうになった。

「だって……」

「同じこと、繰り返す気かよ」

俊輔は大きくため息をつく。

私だって、あんなことが起こった後で、考えなしに部屋へ誘ったわけではない。

それなりに覚悟を決めてのことだ。

俊輔はもう、私のことなど吹っ切れたかもしれない。

振られた相手が酔っ払って危ない目に遭っているのを、友達として放っておかなかっただけで、本当は面倒に思っているかもしれない。

それでも、もう少し一緒にいてほしい。

その安心できる胸の中に、いさせてほしい。

「いいもん」

「は?」

「俊輔なら、いいもん」

「いいって……何言ってんの」

私は狼狽えている俊輔の手を掴み、引っ張って自分の部屋へと向かう。

俊輔は抵抗せず、大人しく私についてきた。

部屋が近づくごとに自分の胸が高鳴っているのを感じる。

< 158 / 161 >

この作品をシェア

pagetop