とある神官の話



 ―――"時は来た。
 ―――再び我らは復讐を遂げる"

 ―――"はたして嘘つきは誰か?
 ―――"本当は嘘に、嘘は本当に"



 思わず顔をあげた俺とハイネンの目が合う。おいおい、こんな所で見せんなよ。そんな俺の思考を読み取ったらしい。「面倒臭いですねえ」と立ち上がる。そして俺の腕を掴み、神官たちに向かって「これちょっと借りますよ」と言った。おい誰だ!「どうぞどうぞお好きなように」と言った奴は!


 うっかり握ってしまった紙はくしゃくしゃになっていた。

 廊下に出て部屋を離れてすぐ「どう思います?」と聞いてきた。だが、ハイネンの顔は相変わらず。何を考えているのかさっぱりだ。




「その紙の後者は、報告書には無かったでしょう?」

「ああ」

「プレゼント、だそうです」




 どういうことか。

 聞き直した俺に、ハイネンは説明する。ヤヒアと遭遇したさいに、ヤヒアが言った言葉。"はたして嘘つきは誰か?本当は嘘に、嘘は本当に"
 プレゼントだとヤヒアはいったそうだが、何やらまた嫌な予感しかしない。ハイネンもまた頷いた。



< 151 / 796 >

この作品をシェア

pagetop