とある神官の話






「いらっしゃい、シエナ」

「みんな元気そうですね」

「ええ。悪戯っ子ばかりで参るねえ」






 ここ、聖都の中央からは少し離れた場所に孤児院はあった。親を亡くした子を保護しているのだが、その親代わりをブエナがやっていた。

 ブエナは昔、神官として働いていた経験を持つ。神官というのは、特殊能力を持った者で、魔物と戦うものを指す。世界に溢れた魔物を、退治すべく神が力を与えた、というような意味なのだが、私はそんなに熱心ではない。
 宗教絡みなのは仕方ない。魔物退治を率先しているのが神官なのだ。神官という呼び名はその神が力を与えた者を指すのだから。

 私が神官となったのは、単に"能力"があるからだ。身寄りがなく、そして奇妙な力を持つ子供てして地方にいた私は、迫害めいたことを受けた。ここでは認められ、神官として魔物を退治することが出来、頼られる存在だった「だいぶ様になったわね」



 居間に通され、紅茶をだされる。横からは「お姉ちゃん、魔物倒した?」とか「ねえねえ"力"見たい!」とジョゼッタ達が絡まる。

 時間があるとき、私はここに来る。ブエナからいろいろと勉強させてもらうためと、ブエナからの頼みで。
 ブエナが「話しがあるから、遊んできてくれるかい?」とジョゼッタ達に言うと、渋々出ていった。

 最後に遊んだのはいつだっけ、と振り返りながら、私は背中を見送る。





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