とある神官の話




 多量出血。

 死ぬことはないが、補給しなくては。衣服がボロボロ。しかたない、か。

 戻るべきか。

 ――――――リリエフ。
 同じヴァンパイアだ。悲しき女。最後に会ったのはいつだったか。




「で」




 目の前に広がるのは、ノーリッシュブルグの街――――なのだが。
 人一人、いや。雪すら見当たらない。異変。景色は春だとか、雪の降る季節以外だろう。ラッセルが顎に手を添えた「幻術か」

 リリエフの能力である。
 幻を見せる惑わせる。厄介なのは受ける攻撃などは現実と変わらない。
 傷こそ塞がったが目眩がする。懐に忍ばせていた錠剤を飲み込む。ヴァンパイアは血を摂取しなくては死ぬ。多量出血をした場合、血を摂取しなくてはならないのだ。ラッセルがふざけて「俺のでも飲むか?」と言ったが、私は断った。まだ平気だろう。
 実際普通の液体のほうが良い。が、そんな暇はないようである。




「めんどくさいですね……」

「んじゃ、ここは俺が」




 一歩。ラッセルが肩を回す。そして―――――。


 一面が燃えあがった。




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