とある神官の話
「聖都に行く前にノーリッシュブルグに寄ったんだよ。そしたらシエナ達がいるっていうから」
しかもリリエフとはねぇ。
アゼルは溜息まじりにそう言う。どうやら彼女はしばらく居てくれるようだ。それだけでも心強く思える。
現在、リリエフの行方を追いながら、三日後に控えた祭事の準備をしているという。
年末に行われる祭事は、聖都では約三日間行われる予定だ。ノーリッシュブルグでも行われるために、その準備もあるのだとアゼルは話す。
その年末に行われる祭事は祭日であり、祝日でもあって仕事が休みの人が多い。故に家族や恋人どうしで過ごす日でもあるのだ。そして、互いに贈り物をしあったりする。
ああ、孤児院の子たちに用意出来なかったことが悔やまれた。
「フォンエルズ枢機卿は今聖都にいますよね?ならここでの祭事は誰が」
確かに。ゼノンの問いは私の疑問と重なる。だがアゼルはにたり、と笑う。あれこれ何か嫌な予感。
残念ながら、その嫌な予感は見事的中することとなる。
* * *
美しい彫刻にも雪が降り積もり、聖都もまた寒い日が続く。
宮殿内は三日後に控えた祭日の準備をして慌ただしく感じる。そして正装をした神官や枢機卿もまた目にすることが増えた。もっとも――――とキースは横で腕組をしているミスラ・フォンエルズに頭を悩ませる「見てみろ」
眼下には祭壇があり、かなりの広さがあるホールとなっている。大きな祭事には民間人も入ることが出来る。
神官が祭事の準備であちこち動く中で、枢機卿を示す正装が見えた。