いち恋
口ではそう言っちゃうけど、
本当はすっごく嬉しい。



「あっ、やべっ!あと5分で遅刻だぞっ!」


翔君はケータイを取り出し、
時間をチェックした。



「えっ!!?ちょ、ちょっと急がなきゃっ~」




「よしっ、走るぞっ!」



そう言って翔君は走り出した。



「ちょ、待ってよ~っ!!」


急いで翔君の背中を追いかける。




「おっせーな~、早くしろよ~」



翔君はそう言いながらも、

私のことを待ってくれている。


私は翔君に一生懸命追いつこうと

必死に走った。



「ほらっ。」


翔君は、私に手を差し出してくれた。

私はその手をとって、

翔君と一緒に学校までの坂道を走っていく・・・











私、山内 優愛は

今日から中学校3年生になる。



私の好きな人、

翔君は私の幼なじみ。

私は翔君、って呼んでいるけど、

本当の名前は、村上 翔平。



翔君は私のことを優、って呼ぶ。

これは小さい頃から私たち二人だけの間で

そう呼んでいた。





翔君だけが優って呼んでくれる。

私だけが翔君って呼ぶ。



なんかこんなことでも、すっごく

嬉しいんだ。







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